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当院では、「『余命宣告』は大きなお世話である!」というスタンスを取っております。
余命宣告が改善方法とセットで伝えられるならば、つまり「このままだとこれぐらいの期間しか生きられないと思うので、この部分をこう改善したら、状況が変わる可能性がありますよ。」とアドバイスされるならば、飼い主さんにとって有益な情報となります。
しかし、もし私自身が余命宣告だけを伝えられた場合「病気の診断はありがたいが、余命宣告など不要である!余命宣告は獣医師が『これで打つ手を尽くしました。もう打つ手がないので、さじを投げました。』という意味ではないか!」と考えます。
そもそも、神様でもないのに、余命などわかる人間がいるでしょうか?須崎は神ではないので、目の前で苦しんでいる子の余命などわかりませんし、余命宣告ができる先生方は神様の領域の方なんだろうなぁ〜と思います。
そしてこれは、須崎の個人的な経験なのですが、「もうこの子は今晩超えるのは難しいでしょう…。」と思った子が奇跡の回復をしたり、「この子は大丈夫でしょう。」と思った子がその晩に急に亡くなったり…余命の予測など無理ですし、逆に余命を宣告したら『その通りになって欲しい』などと思いはじめるかも知れませんし…。
いずれにしても、余命宣告など、飼い主さんにとっても、ペットにとっても、迷惑きわまりない告知なのです。以下にそう言い切れる理由を解説させていただきます
重要な事実を確認します。
人間に備わっている、きわめて重要な特性が、「考えたことが『現実世界』に反映される」 というものです。
例えば、オリンピック選手が本番で 「だめかも…」と思うことで、脳から身体全体に緊張と躊躇の信号がホルモン系、神経系を介して流れ、当然その影響でパフォーマンスが悪くなり、結果的に「ダメ」になると… また、「行ける!」と自信をもつことで、脳から身体全体にリラックスと行ける!のシグナルが流れ、パフォーマンスもよく、結果的に「OK!]となる…
このことから、何かをやるときに「ダメかも…」とか、不安に満ちあふれた状態でものごとに取り組むことは避けた方がいいとされているのです。理由は、望む結果にはつながりにくいからです。ですから、いきなり物事に取りかかるよりも、自分の中の不安を解決することの方が優先順位は高いのです。
これは、人間の例ですが、母親の精神状態が安定していないと、子供の体調に影響が出てくるという研究報告がありますし、実際、アレルギー性皮膚炎を患っているお子さんをもつ飼い主さんからも、「私がイライラしてくると、うちの子の症状が悪化してくるので、その話はよくわかります。あぁ、やっぱりそうなのかぁ〜」といわれることがよくあります。
重要なので繰り返しますが、飼い主さんの心配、不安は、確実に飼い主さん自身と、身近なペットに影響を及ぼします。あなたの不安がペットに伝わるのです!
不安・心配を愛情と勘違いしている飼い主さんが時々いらっしゃいますが、その方向にエネルギーを注ぐことは、愛情とは言えないのです。
「出来事に意味はない。あなたが意味づけするまでは。」という言葉をご存知でしょうか?その出来事をきっかけとして、前進する起爆剤とするか、腐る材料ととらえるかは、本人次第です。
ですから、あなたの愛犬・愛猫の具合が悪くなったとき、治らないという枠組みでその子を見続けることを決意しますか?それとも、「難しいかもしれないが、あえて万に一つの可能性にかけてみよう!きっと道は通ずるハズだ!結果にこだわらないが、ベストを尽くそう!」と考えますか?脳の仕組みを考えたら、どちらにした方がいいのでしょうか?
これらの観点から申し上げて、「余命宣告」は伝え方がきわめて重要だということです。
余命宣告をされた瞬間から、飼い主さんは無意識でカウントダウンをはじめます。
「もう治らないんだ…」 という思いと、 「あと48日…」 という思いとが、犬や猫に 「もう治らない」「あと48日」というメッセージを言葉、態度、言葉に寄らないコミュニケーションを介して伝わり、それがプログラムとなって、改善に必要なパワーすら出なくなるということを完全否定出来る人はいません。
現実は現実として受け止める必要があります。きわめて困難な状況で、「大丈夫!大丈夫!」などと、非現実的に明るくなる必要はありません。現実的な対応がわからずに取り組んでも、心のどこかで「大丈夫なわけないじゃん…」という気持ちが働き、結果的に宣告通りになってしまうということがあります。
もちろん、本当にあと●●日かもしれません。でも、飼い主さんの立場になってみてば、「それはそれでわかるんだけど、最期の最期まであきらめたくはない!」という方も少なくないのです。
余命とは、「獣医師が打つ手が無くなった」という意味です。あきらめるのはいつでもあきらめられます。でも、私は自分の父が脳梗塞で倒れたとき、医者が「失われた機能(左半身)はあきらめろ」といわれてもあきらめませんでした。あきらめきれなかったんです。これって、きっと飼い主さん達も一緒だと思うのです。
かといって、生かすことに執着がありすぎると、今度は飼い主さんが看病疲れになってしまう可能性があります。全ての生命体に寿命があります。別れはいつか必ずやってきます。ですから、何が何でも生かさなければならないと思う必要もありません。私たちの力ではどうにもならないことはあります。あなたが、できることは全てやり尽くしたと考えられるならば(調べれば、治療法なんていくらでも出てくるとは思いますが)、ベストを尽くした上での結果は、仕方のないことですし、受け入れなければならないでしょう。
ときどき、
「私が気付くのが遅かったから死んじゃったんだ…」
「私がもっと一緒にいられたら死ななかったのでは…」
「私がもっと治療法について勉強していれば、他の治療を受けさせられたのに」
「私がもう少し経済的にゆとりがあったら、もっといい治療を受けられたはずなのに」
などと後悔される方がいらっしゃるようですが、そんなことを思う必要はありません!総じて当院にいらっしゃる飼い主さんは十分すぎるほどのケアをなさっています。ですから、この様な心配は不要です。
あなたが今日の天気を変えたり、夏を冬にできない様に、寿命を大きく変えることは難しいのです。
獣医師は、残念ながらコミュニケーションスキルの勉強が不足している方が少なからずおります。ですから、頭で思っていることと結びつかない様な表現を選択してしゃべることがあります。文言の省略は日常茶飯事です。ですから、あなたに感じ悪い印象を与える獣医師がいたとしても、それは実は言葉の選択が不適切だっただけということが少なくありません。
たとえば、次の様に余命宣告されたと言う飼い主さんがいらっしゃいます。
「この子のこの状態ですと、余命は●●ヶ月 です。ですから、他の病院でこの子に希望の持てる治療ができるところがございましたら、転院していただいても構いません。いかがなさいますか?」
しかし、獣医師の立場からですと、次の様な部分が省略されている可能性があります。
「(これまでの私の経験から申し上げますと)この子のこの状態ですと、余命は●●ヶ月(ぐらいの可能性が高い)です。(ただ、体力をつけるとか、根本的な原因を取り除くことで状況は変わる可能性があります。ですから、現在のこの方針を続ける限りにおいて、先ほどの余命期間の可能性が高いということで、方針が変われば、また余命が延びる可能性もあります。しかし、当院で対応可能な方針は出尽くしており、ベストを尽くしているのですが、何分もう手詰まりなため、お手伝いできることはここまでとなっております。)ですから、他の病院でこの子に希望の持てる治療ができるところがございましたら、転院していただいても構いません。いかがなさいますか?」
コミュニケーションスキルがあまり高くない獣医師はこのぐらい省略されることがあります。本当は思いやりがあるのに、そうではない様な印象を与えてしまうのです。
飼い主さんには「そういうことがある」ということを覚えておいていただきたいなと思います。
・余命宣告をされると、飼い主さんがカウントダウンをはじめる
・想いが現実に反映される様になる
・余命なんて神様しかわからない
・最期の最期まであきらめない気持ちで取り組もう
・しかし、結果は甘んじて受け入れよう
・結果に執着せず、現在にベストを尽くそう!
・不安・心配は知ることで軽減されることを知っておこう!
・不安・心配は愛情ではない!
・生物は何が起こるかわからない。だから、あきらめない!
・獣医師の言葉は、言葉足らずのことがある
当院は、最期まであきらめたくないという飼い主さんを、力一杯応援させていただきます。