「動脈硬化の危険因子」解明 歯周病菌酵素が作用 
  九大グループ 「治療、予防に光」  

  九州大学大学院歯学研究院の山本健二教授(口腔(こうくう)常態制御学)の研究グループは25日、歯周病の原因菌が動脈硬化を引き起こす仕組みを突き止めたことを明らかにした。

 歯周病は成人の約8割にみられる生活習慣病。動脈硬化は複数の要因が絡むが、 歯周病が動脈硬化の症状を助長することは近年、疫学的に指摘されていた。

 山本教授によると、その具体的メカニズムを解明したのは世界で初めてという。同教授は 「将来的には歯周病患者の動脈硬化予防や治療に新たな道を開くことが期待できる」と話している。

  動脈硬化の代表的な症例に、血管の内膜が肥大し、血液の通り道を狭めるものがある。

  異物を除去する細胞「マクロファージ」が、変成した「LDLコレステロール」を 次々に取り込み蓄積するのが大きな原因だ。

  研究グループは、歯周病菌がつくる2つのタンパク質分解酵素に注目。 高脂肪食を与えたマウスに主要な歯周病菌「ジンジバリス菌」を感染させ、 各酵素の働きを抑制しながら動脈硬化の発症具合を調べた。

  このうち「Rgp」という酵素を抑制した場合、動脈硬化の進み方は菌に感染していない場合と ほぼ同じだった。この酵素はLDLコレステロール表面のタンパク質を分解して変成させることで、 マクロファージが取り込みやすくしていたことも分かった。
 このことから、研究グループは、この酵素が動脈硬化発症に深く関与していると結論づけた。


  これらの研究成果は近く生化学誌「ジャーナル・オブ・バイオケミストリー」で発表する。


●治療の重要性明確に
  ▼長崎大学大学院医歯薬学総合研究科・中山浩次教授(口腔病原微生物学)の話
  酵素の阻害剤を応用した治療薬の開発などが期待できる点で、解明の意義は大きい。 歯周病が動脈硬化の危険因子になることを証明したことで、 歯周病治療の重要性がさらに明確になったともいえる。


●ワードBOX=LDLコレステロール
  コレステロールは人体に必須の脂質の一種だが、そのままでは血中に溶けないため、 タンパク質と結合して体内各所に運ばれる。その結合の仕方によって「LDL」、「HDL」などと 分類される。このうち「LDLコレステロール」はストレスなどの要因で変成しやすい。 変成したLDLコレステロールは動脈硬化を促すため、一般に「悪玉コレステロール」と呼ばれる。


2006/10/25付 西日本新聞夕刊=(西日本新聞) - 10月25日17時7分更新


 
論文はここで入手することができます

http://jb.oxfordjournals.org/cgi/content/abstract/140/5/713




Copyright 2003 須崎動物病院 All rights reserved

須崎動物病院