下痢ばかりしているうちの子は本当に「腸が弱い」のか問題

ペットが下痢を繰り返すと「腸が弱い」と表現する飼い主さんがいらっしゃいます。

しかし、本当に「腸が弱い」から下痢をするのでしょうか?

正確には、

===
正常に必要なことが起こっている
===
だけです。

それはいったいどういうことでしょうか?

症状は悪いものではない

多くの方が誤解していることですが、症状は悪いものではありません。

===
不快だが、正常かつ必要な反応
===
です。

そもそも、白血球が「敵」を排除するために闘った結果が「症状」です。

敵を減らして白血球が闘う必要が無くなった結果として症状が消えるならば理想的ですよね。

しかし、薬で「症状だけを消す」ということは、白血球に「闘うな!」という指令を送ることになります。

ということは、「敵」はどうなるのでしょうか???

症状を安易に消すとはどういうことか?

想像してみて下さい。

深夜、あなたの家に火がついた…

火災報知器がそれを教えてくれたのに、

「うるせぇなぁー」と火災報知器を止めたとしましょう。

スサキ:「えっ?止めていいんですか?」

アナタ:「だって、うるさくて眠れねーじゃん!」

スサキ:「そうですか…」

アナタ:「しずかになった!おやすみぃー」
(数時間後)
アナタ:「大火事だぁーっ!たすけてぇー!」

こんな感じです。

ですから、症状は安易に消すべきものではなく、どこで何が起こっているかのサインとして活用すべきであり、必ず意味や意義があるのです。

もちろん、生死に関わる様な症状は消した方がいいのですが…。

では、下痢とはどんな意味・意義のある症状なのでしょうか?

腸が正常化するためのプロセス

「身体は常に本来の状態に戻ろうとしている」

これが原則です。

例え不快であろうともです!

と申し上げると、

「辛いのを我慢しろってことですか!?」

なんて感じる方がいらっしゃるかもしれませんが、そうではなく、

===
優先順位としては、症状を消すより原因を減らす方が上!
===
ということです。

ただし、繰り返しになりますが、生死に関わる様な症状は最優先で消さなければなりません。
そして、下痢には、

===
腸もしくはその周辺に何らかの解決すべき課題がある
===
という意味があります。

例えば、
===
腸粘膜に感染がある
食材が合わない
腸内細菌バランスが安定していない
腸周辺リンパ節で白血球とカビが闘っている
===
「など」です。

腸粘膜に解決すべき課題がある?

腸内にはおびただしい菌の種類と量があります。

便は消化吸収できなかった食物のみならず、剥がれ落ちた腸粘膜や、腸内細菌から構成されております。

ですから、便がそうであるように、腸内環境は、「菌まみれ(悪いことではありません)」なのです。

そうすると中には、身体に負荷をかける様な菌もいて、それが腸粘膜に感染したりしたら、腸はリセットのための自衛手段として、

腸粘膜を剥がす
腸内環境を洗い流す

などの対処をするため、結果的に下痢になることがあります。

これを「止める」ということは…

今抱えている問題を「下痢」という手段で解決しようとしたのを

===
問題を解決するな!
===
と指令を出すのと一緒ですよね?

それって、どうなのでしょうか?

と申し上げると、「脱水が!」「電解質が!」とおっしゃる方がいますが、

===
補充すればいい
===
のではありませんか?

もちろん、補充が追いつかないほどの状態ならば、一旦止めることもありかと思いますが、便が緩いとか、多少の下痢は止める必要性が果たしてあるのでしょうか?

下痢で解決しようとした問題は、どうなってしまうのでしょうか???

と、考えると、安易に「下痢止め」で症状を消すことって、「良いこと」なのだろうか?と思いませんか?

それを使って、安易に症状を消したために、安心して油断し、結果的にその下でくすぶっていた炎が大火事に…なんてことにならないことを祈るばかりです。

食材が合わない

当院では、「食材が合わない」という場合、

食材の質
腸粘膜の状態

に本質的な問題があることがほとんどです。

例えば、2,980円で焼肉食べ放題のお店に行くと下痢するけれど、特選和牛ロース一皿2,980円だったら大丈夫という人は現実にいらっしゃいます。

===
価格相応
===
見た目は似ていても、中身は違うということはよくあります。

食品業界で働いていらっしゃる方なら大きくうなずいて下さることと思います。

===
安いには、安い理由がある
===
それが良い、悪いではなく、現実的にその理由で反応しているということがあるんだということは可能性の中にあることを覚えておいてください。


また、食材の質はいいのだけれど、腸粘膜に問題があって、そのために食材の影響を受けることもあります。

この場合、食材によって下痢になったりならなかったりするため、「やはりこの食材が悪かったんだ…」という誤解に繋がりますが、本当の問題は違うところにあるのです。

実はこの場合、そのうち新しい食材にも反応する様になり、「食材を変えたら落ち着いたんだけれど、しばらくしたら再発した…」ということになりがちです。


食材の問題だと誤解し続けるのではなく、やはり腸粘膜の問題を解決しないといけないんですね。

この場合は、信頼できる獣医さんに治療していただいてください。

腸内細菌バランスが課題?

それはそれとして、最近は、腸内環境を整えることで、腸内細菌が分泌する物質が腸粘膜細胞等に働きかけ、健康に影響することが多くの方に浸透してきました。

すると、何でもかんでも腸内細菌をコントロールすれば、あらゆる問題が解決するかの様な思い込みをする方が出てまいりますが、

===
万能な方法は無い
===

ものです。

第一、腸内細菌を外から自由にコントロールできると思うこと自体が大きな誤りです。

「乳酸菌をガンガン投入したのに、何も変わらない!」

と診療にお越しになる方がいらっしゃいますが、それは、

「乳酸菌の大量投与では解決できない問題がある、ということがわかった」

のですから、根本的な解決に向かって一歩前進だ、と考えましょう!

腸以外のところに課題がある?

また、人間にストレス性の下痢というものがある様に、腸そのものの問題では無く、他の部位から神経を介して下痢になる指令が届く状態もあります。

食事を変えたけれど、さほど変わらないという場合は、ひょっとしたら腸そのものの問題ではなく、他の臓器からの影響なのかもしれません。

実際、須崎動物病院では原因療法に取り組んでおりますが、腸以外の問題を解決すると下痢が止まるということはよくあります。

もっとも、当院に連れて来られるペットはこじれにこじれた子達だから、その様な結果になるのかもしれませんけれど…。

ですから、症状が出ているところに根本的な問題や原因があるという先入観を持ってしまうと、こういう探りができなくなるので、一切の決めつけをせずに、一頭一頭丁寧に調べる必要があると、日々の診療で感じております。

フードジプシーは原因を探ろう!

最後に、うちの診療にお越しになる方々の中に「私はフードジプシーでした」とカミングアウトされる方々がいらっしゃいます。

「うちのペットに合うフードを探し続けている方」

という理解なのですが、上記にございます様に、下痢をするというのは、食事内容だけが問題ではありません。

様々な原因があるのです。

それを、食事にだけ原因を求めようとするから、ジプシー(さすらう)のだと思います。

少なくとも当院にお越しになった「フードジプシー」と自称されていたは、全員さすらう必要が無くなりましたから、自信を持って、「食事以外の原因を探って、減らしてみてください」とお伝えできます。

あなたは、今まで沢山頑張ってきています。

それで解決できないということは、まだ探せていないのではなく、「食事の問題では無いことがわかった!」だけのことです。

自信を持って、フードジプシーを卒業してください。

下痢をする子は腸が強い!

ここまでお読みくださったあなたに、強烈なインパクトで記憶に残していただくために、あえて

===
下痢をする子は腸が強い!
===

なんて書き方をしましたが、あながち間違いではありません。

ただ、正確には

===
腸は正常です!
===

ということになります。

もし、弱かったら、闘う力がないわけですから、症状は出ません!

正常だから、症状を出せるのです。

ですから、腸の反応は正常だけれど、腸粘膜のバリア機能が何らかの理由で消失しているとか、水分吸収が充分に追いつかないほどに腸の動きが速すぎる何らかの理由などを探れば、必ず終点はやって来ます。

私たちは今得ている結果を得ることに成功している!

ならば、望む結果に繋がるための原因を選択して、行動したいものですね。

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