その漢方薬、対症療法ではありませんか?

当院の診療にお越しになる方で、ペットに漢方薬を使っている方が少なからずいらっしゃいます。

そして、いろいろ伺ってみますと「●●病に良い漢方だといわれました」という方がほとんどです。

では、世の中に「●●病に良い漢方」は存在するのでしょうか?

病名に対して漢方薬は処方されない

西洋医薬と漢方薬の大きな違いは、前者が症状に対して処方され、症状を緩和し、病気を乗り越える治癒力を発揮しやすくすることが目的なのに対し、後者は体調・体質に対して処方され、症状を乗り越える治癒力を発揮しやすくすることが目的です。

西洋医薬は症状を消すことを考えて処方されますが、漢方薬は症状が出る原因を取り除くことを目的に処方されます。

同じ病名や同じ症状でも、そうなる原因は個々で異なり、必ずしも同じではありません。

つまり、漢方薬は病名に対して処方されるものではないのです。


ですから、「この子の場合において有効な漢方薬」というものは存在しても、ガンを治す漢方薬などは存在しないのです。

もちろん、肝臓病によい漢方薬なども存在しませんし、免疫力を高める漢方薬なども存在しません。

症状を消す漢方薬?

実は、漢方薬には、症状を消す使い方が無いわけではありません。

しかし、それはツールが違うだけで、西洋医薬と同じ考え方で使うことになります。そしてその様に使うと西洋医薬と比較して「効きが悪い」という印象になりがちで、だとしたら、西洋医薬でいいじゃないかということになります。

実際、「漢方薬は効かない」というご意見がありますが、それは対症療法的に使った場合の話であり、本来の使い方ではないわけですから、漢方薬が無効だというわけではありません。

原因を取り除く漢方薬?

漢方薬の使い方には、先の症状を消す使い方に加えて、体質を整える使い方と、原因を取り除く使い方があります。


症状は白血球が何らかの異物を排除しようとして闘っていることの証です。症状を消すということは、白血球の闘いをコントロールすることになりますが、本来は異物を取り除くことを最優先するべきだと考えます。


このときに、身体の除去能力が低いなら除去能力を発揮しやすくする様に体質を調節するのが本来の漢方薬の使い方なのです。

他人のよかったは参考にならない

個々で体質が違い、その体質の違いを調整するのが漢方薬である以上、他人の「これ良かった」という体験談は、必ずしも「我が子」に当てはまるとは限りません。

むしろ、当てはまることの方が稀だと思います。

症状を消す漢方薬と知らずに試していた時間で、さらに原因が増えて悪化する要素につながって後悔するケースが少なくありません。

少なくとも当院に連れて来られるペットは、そんなケースが多いのです。


お金の無駄は働けば何とかなりますが、時間はかえってきません。
その間に戻れるはずだった体調が戻れなくなるほどになったら、あなたはどう考えますか?

誰を責めているわけでもありませんが、そんなこともあることを覚えておいてください。


飼い主さんの不安はよくわかります。

何か方法は無いかとインターネットで調べたくなる気持ちもわかります。

しかし、漢方薬を使う場合、対症療法的に使う方法と、原因療法的に使う方法があり、どちらを選ぶかで、得られる結果が変わってくることを知っておくことは、我が子の治療方針を立てる上で重要なのではないでしょうか?


繰り返しますが、病名や症状を消すための万能な処方は無いことを覚えておいてください。


ただし、飼い主さんに解りやすく説明するために、その様に表現されている熟練獣医師もいらっしゃることもここに記しておきます。

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