対症療法か?原因療法か?どちらが正しい?

まず、症状とは?

熱が出たら熱を下げよう!
肌がかゆくなったらかゆみ止めを塗ろう!
出血したら止血剤を使おう!
下痢したら止めよう!
吐いたら止めよう!

大抵の方はこの様に反射的に考え、行動すると思います。

その背景には、「症状は悪いもの!症状が出たら消さなければ!」という誤解があります。


ここで考えてみたいのですが、症状って本当に「悪いもの」で、スグ消すべきものなのでしょうか?

それは「症状とは何か?」を改めて考えてみると、考えが変わるかもしれません。


症状は、白血球が異物(細菌・ウイルス・寄生虫・カビなどの病原性微生物など)を排除しようとして「攻撃」した結果生じる反応です。

という事実を知ったら、症状は悪いものでしょうか?

症状は悪いもの?

そうです!症状は悪いものではありません。

症状が出るということは、異物と闘っているということです。

身体を守るための闘いですから、それが良いとか悪いとか論じる話ではありません。

ですから、もしあなたが「症状は悪いものだからスグ消すべき!」とお考えなのでしたら、これを機会にぜひ、考えを改められた方がよろしいかと思います。

と申し上げると…

じゃぁ、症状は良いもの?(笑)

「じゃぁ、症状は良いもの?(笑)」と、極端に反対に大きく振れる方がいらっしゃいますが、覚えておいてください!

両極端があったら、正解はその内側にある

ものなのです。

適切な表現をするならば、症状は「不快だが、身体を守るために正常かつ必要な反応」なのです。

もちろん、その症状が強すぎて生命の危機に瀕することがあります。そんな時は緩和すればいいのです。

問題なのは何でもかんでも症状を緩和するだけで、安心することにあるのです。

対症療法とは?

辛い症状を緩和することが主たる処置の治療法のことで、「症状を緩和することで、身体のストレスを軽減し、本来働いているはずの治癒力が働きやすいように、体内環境を整えること」です。

私が今でも強烈に覚えているのが、大学の獣医科の薬理学の授業の冒頭で「病気は薬で治りません。薬は身体が本来持っている治癒力を働きやすくするためのものであって、薬が治すわけではありません。身体が治すのです。」と、薬理学の担当教官がおっしゃったことでした。

それまでは、病気は薬が治してくれると思っていたので、あれから20年以上経っているのに、まだ覚えているのです。

誤解していただきたくないのは、対症療法が悪いと申し上げているのではありません。

症状を消すことだけで満足していいのだろうかということです。

症状が消えた→治った! それでいいのか?

異物がいるから闘った結果、「白血球が放出した炎症反応物質等」の影響力を減らしたり、「白血球そのものの活動」を抑制すれば、炎症が落ち着き、症状も緩和されます。

身体の不快感は減るから、身体は楽になります。しかし、白血球が闘っていた異物はどうなるのでしょうか…?そのままですよね?

そして、しばらくしてから薬を減らすのでしょうが、その頃にはその異物量が以前に増して増えているかもしれません。そうしたら、白血球が闘い始めますから、正常かつ当然の結果として症状が出ます。これを「再発」とガッカリする方がいらっしゃいます。

しかし、その理由がわかれば、ガッカリする話ではなく、「症状が出るということは、原因が残っているんだ!だから原因を抜けば良いんだ!」と、改善の方向性がわかったので、不快ですが重要な「お知らせ」と解釈できるわけです。

同じ症状が続く理由→体質?遺伝?

ここまで理解できると「同じ症状が続く理由」は、おわかりいただけると思います。

そうです!原因が
体内で増える状況にある
環境から次々に入ってくる状況にある

ことが原因で、体質とか遺伝という言葉で「改善する可能性の扉にフタをして諦める」ことをしなくてもいいかもしれないのです。

こうなったら、

体内の原因を減らす
環境の原因を減らす

ことが必要になってきます。

原因療法とは?

原因療法は、対症療法と異なり、「症状が出る原因を減らしたら、白血球が闘う必要が無くなるから、症状が出続ける理由は無くなるよね?」というコンセプトの元、「体内・環境の原因を減らす」ための治療法です。

例えば飼い主さんが風邪をひいたとき、原因のウイルス(熱に弱い)などを退治するために、高熱を出してウイルスが増殖しにくくすることで退治します。

ですから、熱を下げてはダメなのです。辛いかもしれませんが、身体に任せていれば良いのです。

この様に、身体は原因を排除するために必要な反応をしてくれるのです。

甲状腺ホルモンが不足しているから甲状腺ホルモンを服用すればいい?

よく、「元気がなくなってきたので、血液検査をしてもらったら、甲状腺ホルモンの量が足りないから甲状腺ホルモンの薬を服用することになりました。そうしたら、元のように元気になったのです♪」と、これを原因療法と考える方がいらっしゃいます。

でも、それは対症療法です。

原因療法は、「なぜ、甲状腺ホルモンが出ないのか?」を探り、障害となっている原因を取り除いて、甲状腺ホルモンの分泌量を正常に戻すことにあります。

その原因が甲状腺そのもにあるときもあれば、甲状腺以外の所から甲状腺に影響が及んでいることもあります。後者の場合、甲状腺のケアは見当違いどころか、状態の悪化につながることもあります。

この違いを理解し、区別することがとても重要です。


では、対症療法と原因療法のどちらが良いのでしょうか?

どちらがよい?

正解は、どちらの視点も必要なのです。

生死に関わる様な症状は即座に消して、苦痛などのストレスを最小限にする必要があります。

精神免疫学という分野では、リラックスすることで、白血球の活動が適正化するともいわれております。

しかし、症状を消して安心して良いわけではなく、同時にその症状が出るに至った原因も減らす必要があります。

ただ、症状が消えると安心して原因を排除することを忘れる飼い主さんが多いので、個人的には症状は「まだ原因が体内に残っています」という指標になるので、症状は残しておきたいと考えております。

対症療法と原因療法を両立させるには?

しかし、「通常の西洋医学的な動物病院では、対症療法は喜んで対応してくださいますが、原因療法は取り入れていないところも珍しくありません。

ですから、当院にお越しの飼い主さんは、かかりつけの西洋医学的な動物病院で症状を緩和していただいてから、セカンド・オピニオン的に当院を活用されているかたがほとんどです。

どちらが正しいのか?という思考ではなく、両方活用するという視点をお持ちになってみても良いのかもしれません。

いざという時のために、何も起こっていない、余裕のある今のうちに是非、お近くで「原因療法」に取り組んでいらっしゃる動物病院・獣医師を探しておいてくださいね。

くどいようですが、対症療法と原因療法のどちらが上とか下とか、正しいとか間違っているとかという話ではなく、両方が大事なのです。


問題解決力を高める秘訣は「採りうる選択肢を増やすこと」であり、問題解決力を低下させる秘訣は「選択肢を制限すること」なのですから。

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