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先日、診療中に、飼い主さんにこんな質問をされました。
「公園の散歩友達から『今年の夏は暑くて蚊の活動レベルが低いのでフィラリアの薬はいらないみたい』と言われました。私はそんなことはないと思うのですが先生はどう思われますか?」
テレビでも「今年は猛暑が原因か、全国的に虫刺されが少ない」と報道されたそうです。
その理由が
===
蚊は35℃を超えると野外では物陰や落ち葉の下などでじっとして活動しなくなる。
===
からだとか。
ちなみに、蚊の吸血活動と気温の関係は
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15℃以下→活動しない
15℃以上→吸血開始
26ー31℃→最も盛んに吸血活動
35℃以上→活動しない
===
といわれております。
たしかに、【日中】は暑くて蚊も日陰でじっとしているでしょう。
しかし…
一日中40℃なんてことはない
当たり前のことですが、一日中40℃などということはありません。
朝晩は吸血活動が最も盛んになる気温になります。
そして、「日中は35℃以上になるから、朝晩の涼しいうちに散歩しよう」と聡明な飼い主さんは判断されるでしょう…。
たしかに、例年に比べると、蚊に刺される箇所は少ないかもしれません。
実際私も少ないですが、ゼロでは無いのです。
そして、その数少ない刺された蚊がフィラリアをもっていたら…
そう考えたら、「今年の夏は暑くて蚊の活動レベルが低いのでフィラリアの薬はいらない」なんて話は適切な情報なのでしょうか?
飼い主さんに不適切に擦り込まれた判断基準がある
たしかに薬を飲めば、肝臓で処理する必要があります。
飼い主さんは「愛犬に負担をかけたくない」
という気持ちがあるかもしれません。
しかし、フィラリア予防薬の「負担」は通常は犬の処理能力の範囲内です。
もし、処理能力を超える「実害」があるなら、それは例外的な個別の問題で、
「害がある犬がいるから全頭使用を中止すべきだ!」
という意見をお持ちなのだとしたら、
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個別の話と全体の話はきちんと分けて話す必要がある
===
と思うのですが、いかがでしょうか?
どこからフィラリアが運ばれてくるかわからない
高温多湿な日本では屋外飼育の犬では3夏過ごすとほぼ100%感染するとも言われています。
蚊だって、「この暑さを何とかしのごう」と一生懸命生きています。
通信販売の段ボール箱に入って移動したり…
エレベーターで移動したり…
マンションの通気口から侵入したり…
なんてことを考えたらキリが無いし、100%安全とはだれも断定できないのではないでしょうか?
陸上で溺れさせる苦しさを味あわせたくない
フィラリア症で亡くなる犬が少なくなったとはいえ、何もしないで気がついたらゼーゼーと咳をする様になり、地上で溺れるように呼吸困難になって死ぬのと、肝臓での処理を天秤にかけたら、どちらがいいかと考えたら、あなたはどちらを選びますか?
別に煽っているわけでもなく、脅しているわけでもなく、事実を申し上げているだけです。
薬の害は処理能力の範囲内
薬を使わない動物病院だから、「薬をできるだけ使いたくない」という飼い主さんのお気持ちはよくわかります。
しかし、フィラリアの薬の身体に与える負担など、犬の処理能力の範囲内です!(ごくまれに例外はあるかもしれませんが…)
ひとときの感情に流されず、冷静に解釈・思考・判断・決断・行動していただきたいと思います。
そして、万が一、フィラリア症になった場合、治療は予防薬のときの負担とは比べものにならない負担がかかることを忘れないでください。
「フィラリア症の治療ってどんなことになるの?」
という方は、こちらの記事も参考にして下さい。